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ツバル―地球温暖化に沈む国

ツバル―地球温暖化に沈む国

神保 哲生

ツバル―地球温暖化に沈む国

定価: ¥ 2,100

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人気ランキング: 138460位

おすすめ度:

発売日: 2004-01

発売元: 春秋社

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温暖化問題を知るには良い本
印象に残ったのは、ツバルのようなサンゴ礁で出来た島への波の浸食は、ある日突然一気に進むという話でした。海面がサンゴ礁の頂面よりも低い位置にある限りはゆっくりとしたペースで進むが、いったん海面がそれを超えてしまうとサンゴ礁の島はとても脆弱になると。神保氏のレポートでは現状でも十分ひどく感じるものの、それがゆっくりとした浸食だと仮定しても、ある日突然そのペースが急激にはやくなって突然沈んでしまうかもしれないツバルの状態はまさに危機的状況にあると感じました。

地球温暖化問題への取り組みに非常に熱心なニュージーランドの政党が、非公式ながらもツバルからの移民を年に75人受け入れる際に、その移民者を環境難民と定義してしまうと、これから先に膨大な数が発生する可能性の高い環境難民が押しよせてしまう恐れがあるために、それを環境難民だとは定義することができずに、労働ビザを発給し永住権を与える形でしか認められていない政治的な思惑を突く神保氏のいじわるな質問も面白かったです。

あとは海面上昇否定論者の拠り所となっているNTFという機関の「海面は上がっていない」説のデータが、ツバルで実際に起きている海面上昇と実は矛盾していなかったからくりには驚かされました。少子化により移民受入れ案が経済界から出始めている日本は、将来大量の環境難民が発生した時には遠い国の無関係話ではなくなるかもしれないですね。温暖化問題を調べている人には色々な事を知ることができ参考になると思います。

誇張された表現が多いように感じました。
本書を読むと、ツバルに住むほとんどの人々が、毎日起こる洪水や浸食被害から避難するためにニュージーランドへこぞって避難しているような印象が残ります。昨年、実際にツバルを訪れて、島民の方々や政府のスタッフなどにお話を伺いましたが、ニュージーランドへの環境移民と言った事実はなく、労働移住としての移民申請が細々と行われていると言う現状を知りました。また、洪水も12月?4月にかけての雨期に10数回起こる程度だということでした。オーストラリアの潮位計の計測方法など緻密な取材によって新しい事実を提示しているページも多いのですが、環境被害を伝えたいという気持ちが先行して大げさな表現になっている箇所が多いことが気になりました。アメリカを訴えるなどのトピックスも現在の首相はまったく考えていないと言うことです。情報のアップデートも含めた再版の出版に期待します。

環境難民国家の苦渋
 1961年に生まれ、渡米しAP通信等の記者を務め、1993年独立し、1999年インターネット放送局を設立したビデオジャーナリストが、NHK教育テレビ用に調べた、南太平洋の島国ツバルからの現地リポート。2004年刊行。ツバルは9島の環礁から成る世界第4の小国で、地球温暖化の最前線の「絶滅危惧国」である。その収入は出稼ぎ、海員派遣業、漁業権貸し出し、切手産業、カントリードメイン使用権の売却、台湾・旧宗主国イギリスからの援助くらいしかなく、主な通信手段は口コミ(狭いので)、街灯も軍隊も重大犯罪も無く、日本の民間会社が日本での領事業務を代行し、唯一の空港(滑走路と小屋のみ。現在唯一の広場)の周辺にしか街らしい街がなく、国民の多くは自給自足経済という、温室効果ガスを排出しようもない国である。ところが、地球温暖化による氷の融解、海水の熱膨張のために海面が上昇したため、海岸浸食、日常的な内陸の浸水、塩水の地下水・畑への侵入等が発生し、自家農業が崩壊し(その結果、外貨によりインスタント食品・缶詰を購入し、健康問題も発生)飲み水も不足した。ツバルは2000年、国を挙げて環境難民化する決断を下し、オーストラリアは拒否するも、ニュージーランドは限定付きで労働者として受け入れた。その背景には、「難民」概念と認定の主導性をめぐる問題があった。また、ツバル首相が考案した「温暖化訴訟」はアメリカで実現している。このようなツバル問題は、全人類の問題でもある。川面の上昇、砂浜の消滅は日本とも無関係ではなく、護岸堤防建設や環境難民受け入れ問題は、今後クローズアップされてくるであろう。特に沖ノ鳥島問題は、ツバル問題と比較可能である。ツバル問題は、先進国の途上国に対する責任、現在世代の未来世代への責任を鋭く問う。なお、ツバル人の重視する潮位と科学者が重視する潮位との概念上の乖離という問題も、非常に興味深い。
                     

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