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沈黙の惑星―火星の死と地球の明日
沈黙の惑星―火星の死と地球の明日
沈黙の惑星―火星の死と地球の明日
ジョン・E. ブランデンバーグ
定価: ¥ 1,890
販売価格: ¥ 1,890
人気ランキング: 549367位
おすすめ度:
発売日: 2002-09
発売元: ダイヤモンド社
発送可能時期: 通常3?5週間以内に発送
総論の姿勢は買うが各論が弱い読み物
筆者の行動的で饒舌な感じは好感が持てる。内容にもそれが表れた結果が、枝葉の議論の紙数に現れている。充実しすぎた枝葉によって、幹となる主張が忘れられそうになる。最終章に本書で言いたいことが簡潔に示されているので、まずそこを読んで筆者の主張を頭に入れる方が良いだろう。そうしないと途中の刺激的な話題で目的地を忘れてしまう。
内容は脱線しているというわけではないが感情が走りすぎで、もうちょっとテーマ毎に話題を整理・体系化すべきだった。特にデータは文章ではなく図表で明示して因果関係の客観性を高めることが必要である。(なにせ筆者はNASAの物理学者なのだから、自分の研究予算獲得に有利な結論に持っていくような大風呂敷を広げるような飛躍した議論ではいけない)
環境問題というと感情的に総論賛成各論反対という傾向が強いのだが、上述のように本書は総論の姿勢は買うが各論が弱い読み物で終わっている。
支離滅裂で非現実的きわまりない
本書の基本的な主張は、地球温暖化を防止しなければ、という話。温暖化の末路は火星を見ればわかる、と言うんだ。
著者の主張だと、火星は生命に満ちた緑の惑星だったという(ちなみに、これは何の証拠もないトンデモ。水はあったっぽいが、生命についてはバクテリアくらいいた可能性もある、程度の話で、それすら確定的な証拠は何もない)。火星は太陽から遠くて寒いけど、かつては大気中に二酸化炭素と水蒸気があって温暖に保たれていたからだった。それがあるとき、隕石の衝突で大気がなくなって、それで温暖化が維持できずに水と二酸化炭素が凍ってしまったのだ、という。
じゃあ火星が死の惑星になったのは、その小隕石のせいってことでしょ。温暖化は関係ないじゃない。地球温暖化の末路の参考になんかならない。著者たちの主張はまったく何の理屈にもなっていない。
さらに二酸化炭素が怖いとか、酸素がなくなりつつあるとか、異常気象が到来とか、そんな話が羅列される。が、その中身はあまりにお粗末。中国の死因の25パーセントは大気汚染が原因?日本には酸素濃度が低くて呼吸困難な都市がある、なんてヨタ話をまじめに載せている(P.252)。著者のいい加減さがよくわかる。湖底のCO2があがってきて村が全滅した例がある、という話も、いまのCO2排出規制とは何の関係もない。そのCO2は、過去数千年にわたって蓄積したものでしょ。それを根拠になんでCO2排出規制を唱えられる?
さらに著者たちの地球への提案がすごい。真っ先にくるのが、核融合の開発を?めろ、宇宙移住を進めろ、そんな実用化のめどのまったくたっていないものが提案の筆頭?著者の現実感覚のお粗末さがよくわかる。
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